りょやしょかい旅夜書懐
細草微風岸
危檣独夜舟
星垂平野闊
月湧大江流
名豈文章著
官応老病休
飄飄何所似
天地一沙鴎
危檣独夜舟
星垂平野闊
月湧大江流
名豈文章著
官応老病休
飄飄何所似
天地一沙鴎
詩
※日本で一般に読まれている本文によります。
書き下し文
細草 微風の岸
危檣 独夜の舟
星垂れて平野闊く
月湧いて大江流る
名は豈に文章もて著れんや
官は応に老病にて休むべし
飄飄 何の似る所ぞ
天地 一沙鴎
現代語訳
細い草がそよ風になびく岸辺。高い帆柱の舟に、ひとり夜を過ごす。星は低く垂れ、平野は広々と、月は川面に湧き上がるように映り、大河は流れていく。名声が文章で得られるはずもない。官職も老いと病でやめるのが当然だ。さすらうこの身は何に似ているだろう。天地の間に漂う一羽のかもめのようだ。
原文と書き下し文の対照
細草微風岸 ― 細草 微風の岸
危檣独夜舟 ― 危檣 独夜の舟
星垂平野闊 ― 星垂れて平野闊く
月湧大江流 ― 月湧いて大江流る
名豈文章著 ― 名は豈に文章もて著れんや
官応老病休 ― 官は応に老病にて休むべし
飄飄何所似 ― 飄飄 何の似る所ぞ
天地一沙鴎 ― 天地 一沙鴎
鑑賞
壮大な夜景と、その中で小さく漂う自分。最後の「天地一沙鴎」は、孤独な漂泊者・杜甫の自画像として知られます。
日本で親しまれる理由
「飄飄何の似る所ぞ」
語句
- 危檣
- 高い帆柱
- 飄飄
- 風に漂うさま
- 沙鴎
- 砂浜のかもめ
作者
杜甫の生涯と作品一覧は作者ページへ。
作られた背景
永泰元年(765年)、成都を離れ長江を下る旅の途中の作とされる。