ほっこざんのしたにやどる次北固山下
潮平両岸闊
風正一帆懸
海日生残夜
江春入旧年
※日本で一般に読まれている本文によります。長編のため、有名な部分を抜粋して掲載しています。
書き下し文
潮平らかにして両岸闊く
風正しくして一帆懸かる
海日 残夜に生じ
江春 旧年に入る
現代語訳
潮は満ちて両岸はひろびろ、風は正しく帆が一枚懸かる。海の日は残夜のうちに生まれ、江の春は旧年のうちにもう入りこんでいる。
原文と書き下し文の対照
潮平両岸闊 ― 潮平らかにして両岸闊く
風正一帆懸 ― 風正しくして一帆懸かる
海日生残夜 ― 海日 残夜に生じ
江春入旧年 ― 江春 旧年に入る
鑑賞
潮が満ちて両岸がひらけ、追い風に帆がひとつ。残る夜のなかに海の日が生まれ、まだ年が明けぬうちに江には春が来る——旅の時間と季節が、静かに交差します。
日本で親しまれる理由
「海日生残夜、江春入旧年」。残夜に海の日が生まれ、旧年に江の春が入る
語句
- 北固山
- 江蘇・鎮江にある山
- 残夜
- 明けきらない夜
- 旧年
- まだ明けぬ年。大晦近くの旅
作者
王湾の生涯と作品一覧は作者ページへ。
作られた背景
王湾の五律。長江下流を行く舟旅の名篇で、対句「海日生残夜」は特に称えられる。